[読んだ本003-2]「SLEEP」後編

☆[読んだ本003-2]「SLEEP」

さて、前回もご紹介した「SLEEP」という本の後半部分の重要な内容をご紹介します。

本当にこの本を読むと「ちゃんと寝なきゃ!」と思わされます。

◎少しの光でも眠りの質は悪くなる

■実は肌にも光が見えていると言えるのだ。ブラウン大学の研究チームにより、肌の細胞がロドプシンを作ることも確認された。
ロドプシンは、網膜で光を認識する物質だ。寝室に光があると、体はそれを感知して脳や臓器に通達する。

コーネル大学の研究チームがそれを試す実験を行った。被験者の膝の後に光ファイバーケーブルをつけ肌の1部に光を当てた。
1分といってもその範囲は25セント硬貨ほどの大きさだ。
被験者は真っ暗の中で眠っていたが、そのごくわずかな光があっただけで、体温とメラトニンの分泌に変化が生じた。

◎「メラトニン」の重要さ

■光の害の中でも深刻なのが、メラトニンへの影響だ。調査によると、眠っているはずの時間に室内の光を浴びると、メラトニンの生成量が半分以下になると言う。

メラトニンが睡眠に欠かせない存在だと言う事はすでに述べたが、メラトニンの働き他にもたくさんある。

◎免疫機能の改善 ◎血圧の正常化 ◎がん細胞の増殖や腫瘍の成長の抑制(白血病も含む)

◎DNA保護力の強化 ◎フリーラジカル(有害な活性酸素)の排除 ◎骨訴訟症のリスクの低下 ◎脳内に血小板が生じるリスクの低下 ◎偏頭痛を始めとする痛みの緩和

◎甲状腺機能の改善 ◎インスリン感受性の向上と体重減少の促進

という風に、「メラトニン」はあらゆる健康に関する作用を持っている。

睡眠不足によってこの「万能薬」が阻害されてしまう。

◎「豆電球」でも子供は「近視」になる

■フィラデルフィアにあるペンシルベニア大学シェイエ眼科研究所の研究チームが、

小さな豆電球1つでも子供の近視が進む一因となり、大人になってから深刻な視覚障害を招く恐れがあると発表した。

真っ暗の中で寝た場合、将来的に近視になった子供は10%だったが、

豆電球の部屋で寝た子供は34%、

電気をつけた部屋で寝た子供に至っては55%は近視になったのだ。

◎「LED」ランプは特に眠りの妨げになる

■最近は「車のライト」「街灯」などでも「LED」が使用されるようになった。

このことによって、窓から差す光によって私たちの脳が「昼」と勘違いして、眠りに関するホルモンを阻害してしまう。

なので、「遮光カーテン」は必須と言ってもいい。

◎最高の眠りをとるために~光編~

1,できるだけ遮光カーテンにする

2,特に寝室に光るもの(デジタル時計など)を置かない。

3,LEDライト、ブルーライトが出るものを避ける

☆最高の眠りの為に~運動編~

■ノースカロライナ州分にあるアパラチア州立大学の調査から、最高の睡眠を得るには午前に運動するのが理想的だということが明らかになった。

実験によって、3グループに分け、それぞれ午前7時、午後1時、午後7時に運動をしてもらったら、

午前7時にしてもらったグループが一番よく眠れて、筋肉などを修復する「レム睡眠」が75%も多くなったという。

■また、身体の深部体温が一度上がると、下がりきるのに4時間~6時間かかってしまう。深部体温が高いと眠りにつきにくい。

なので、夜に運動をするのは眠りの面からも、筋肉などの回復の面からも良いとは言えない。

◎眠りは寿命にも関係する

■最近の研究で、一番私たちの「寿命」を知るうえで一番正確な「指標」となると言われている「テロメア」

年齢を重ねるにつれてテロメアはすり減っていき、最終的には消えてなくなる。そうすると細胞の分裂が止まる。

(つまり、一気に老化し、死に向かう・・・)

テロメアの長さを縮めるスピードはある行動によって左右されるのだ。

カルフォルニア大学の研究チームが実施した調査により、テロメアを縮めるスピードを加速させる最大の要因は「寝不足」であることが明らかになった。

■嬉しいことにライフスタイルを改善すればテロメアの強化を図ることができる。

学術誌(アーカイブズ・オブ・インターナル・メディスン)に掲載された研究により

週200分程度の運動をした人は、週16分だけ運動した人に比べて平均5~6歳若く見えることが明らかになった。

やはり運動は若さの源泉なのだ。睡眠を改善する効果も期待できることを思えば、健康で長生きするためには、大切な運動が欠かせないのもうなずける。

◎「眠り」「若返り」に効果的な運動とは?

■ホルモンの働きを最大限に高めたいなら、ウェイトトレーニングが必要だ。

重いウェイトを持ち上げると、アナボリックホルモンが分泌され、気分は上向きになり、見た目は若がえり、よく眠れるようになる。

■不眠症と診断されたクライアントのために、

私は週に2回30分のウェイトトレーニングだけするようにと指示した。

その結果彼の体から余分な脂肪は消え、健康のバロメーターとなる数値は改善した。そして彼が何よりも必要としていた睡眠を取れるようになった。

◎最高の眠りの為に~運動編~ まとめ

1,午前中に運動をする

2,筋力トレーニングと好きな運動を組み合わせる

3,週2回ウェイトトレーニングをする

効果的なトレーニング法としては、1回のトレーニングで「2か所」鍛える場所を決め、

例えば「太もも」と「胸」だとすると、スクワット10回、すぐに腕立て伏せ10回をして、最大2分間ほど休憩し、またスクワット10回、腕立て10回・・・

というのを30分間の間に繰り返す。(もちろん慣れるまでは、最初10分間でもいい)

効果が出始めるのは、(週2回以上を)2週間以上続けた後。

☆「眠り」と「スマホ」

■眠る前に携帯電話で話すと深いレム睡眠の段階に達するのが遅くなり、深い睡眠の時間が短くなることが明らかになった。

つまり回復力、免疫機能、ホルモン機能が低下し、翌日の頭や体の働きが悪くなるということだ。

■イギリスレスターシャー州にあるラフバラー大学の研究チームによると

スマホを頭の近くで操作すると、通常に比べて脳波の「デルタ波」が出にくくなることが分かった。

「デルタ波」は深い眠りに関連する脳波だ。

被験者は眠るように指示されたが、眠りに入るのに通常の2倍以上の時間がかかってしまった。

■イスラエルの研究によると、スマホの電磁波(電磁界)が

脳や耳下腺の腫瘍をできやすくするという。

携帯電話で定期的な通話を5年間続けると34%増加する
一生のうちに携帯電話での通話が5500回を超えると58%増加する
一生のうちに携帯電話の通話時間が266.3時間を超えると49%増加すると言っている

さらにメラトニンの分泌は電磁界を浴びることで大幅に阻害されると言う研究結果も載っている。

■ノートパソコンを使ってワイヤレス環境のインターネットに4時間接続した状態でいると、

精子の運動率の著しい低下を招き、精子DNAの断片化が進むと言う研究報告が載っていた。

☆「眠り」と「スマホ(電子機器)」まとめ

1,眠る前にスマホを使うと、眠りの質が著しく低下する

2,持続的なスマホの使用は脳腫瘍、耳下腺腫瘍などになりやすくなる

3,wifiなどの影響で、不妊にもつながる。

☆「ダイエット」と「眠り」

■標準的な体格の人は、食事後の「コルチゾール」は5%程度の増加に対して、

肥満体系の人は、50%ほども増加してしまう。

(この「コルチゾール」は「ストレス・覚醒ホルモン」で、これが多いと、目が覚めてしまう(眠気が来ない))

さらに、コルチゾールがこれだけ増えれば、血糖値は上昇し、インスリン感受性は低下し、体内の炎症を抑制する力が強くなる(免疫力が低下する)

◎「眠り」の為にも正しいダイエットを

■(世の中では、ダイエットと言えば「カロリー制限」をする人が多いが)

調査によると、カロリー制限によって落ちた体重の70%は、脂肪のない筋肉組織が失われた結果だと言う。

(体重が減るのは、脂肪が燃焼されたわけではなく、筋肉が減ってしまったことによる。そのため、その後の「基礎代謝」が落ちて、リバウンドしやすい体になる)

■だから体内にため込んである脂肪を燃料に使うホルモンの分泌を促せば良い。

脂肪燃焼しやすい体に変えたいなら3大要素の「タンパク質」と「脂肪」に注目する必要がある。

栄養素を中心に扱う「ジャーナル・オブ・ニュートリション」と言う雑誌に次のような研究報告が載っていた。

130人の被験者を2グループに分け一方には低糖質の食事、もう一方には低脂肪の食事を6回続けてもらった。

すると低糖質グループは平均5.8キロ痩せたのに対し、低脂肪グループは平均1.9キロしか痩せなかった。

■食べる脂肪は脳や神経系、内分泌系を正常に動かす上で欠かせない存在だ。

体重を落としたいなら、タンパク質と良質な脂肪を多めに取ると良い。

そうすれば脾臓がインスリンに代わって「グルカゴン」を多く生成できるようになる。

グルカゴンが生成されると体内にため込んである脂肪酸が燃料に変わる。
脂肪を落とすことが目標なら、グルカゴンの活用が不可欠だ。

■また、マグネシウムといったメジャーでない微量栄養素が体内で不足すると、3大栄養素にどれだけ気をつかっていても過食を招く恐れがある。

微量栄養素が豊富な食事をとればレプチン(満腹を伝えるホルモン)の分泌が活発になるのでバランスのとれた健康な体と体内の正常な働きを保つことができる。

■スタンフォード大学の研究では、寝不足になると体内のレプチン(満腹を伝えるホルモン)が大幅に減少すると言う調査結果を発表した。

肉体的にも精神的にも疲れていると脳はすべての機能を基準値に保とうとして、追加のカロリーを探し始める。(過食になりやすくなる)

睡眠不足になると、脳の優先順位付けの機能が低下し、人間の脳に1番古くから備わっている本能が過剰に反応すると言う。

つまり、寝不足になると、いくら医師が強くても、脳が「本能」に乗っ取られてしまい、意志とは関係なく過食になってしまう。

◎「ダイエット」と「眠り」まとめ

1,夜食は高脂肪おかず低糖質のものに

寝る間際にどうしても何か食べる時は高脂肪かつ、低糖質のものを選ぶと良い。血糖値が変動しにくい。

しかし、どちらにしても「コルチゾール」が出るので、できるだけ眠る1時間半前までに食べること。

2,満腹ホルモン「レプチン」の働きを高める。

睡眠の質を高めれば、レプチンの働きを高めることになるし

微量栄養素が豊富なものを食べるように心がけていれば、体内でレプチンが生成され、空腹を訴える原因となった足りない栄養素も満たされていく。

3,インスリンを抑える朝食メニュー

朝に糖質の高いものを食べると血糖値が急激に上昇するうえに、脂肪を溜め込みやすい1日になってしまう。

脂肪を溜め込みたくないなら午前中はインスリンを低く抑える。

最高の朝食はタンパク質(卵、ステーキ、鮭)野菜、良質な脂肪(アボカド、ココナッツ、オリーブ、ナッツなど)

☆「眠り」と「瞑想」

■MITで研究するクリストファー・ムーアは次のように述べている

瞑想を繰り返し行うことにより、心の乱れは最小限に抑えられ、何らかの刺激で注意がそれる確率が低くなると思われる。
実験のデータから瞑想をすると集中力が高まることがわかる。これは起きたことが自分に与える影響を制御する力が高まることが一因である。

■ハーバードメディカルスクールの研究者も、瞑想が脳の構造を変えることを明らかにした。瞑想をすると注意力や感覚処理に関する領域が強固になると言う。

■仕事上のパフォーマンスや生産性、記憶力、集中力に瞑想がもたらすメリットを語るデータは数知れない。

■ジョージア州オーガスタにあるジョージア医科大学による調査で、

瞑想には血圧を下げるとともに、腎臓病や心臓発作のリスクを軽減する効果があることがわかった。

他にも瞑想によって慢性的な痛みが緩和したり、炎症の元となる物質を減少したりすることを実証する研究はたくさんある。

■また「メディカル・サイエンス・モニター」誌には、瞑想に慣れている人の方が、瞑想しない人に比べてメラトニンの基準値が高いと言う記事が載っていた。

■ここで1番強調したいのは、瞑想に悪い副作用が1つもなく、人生の質を高める効果ばかりだと言う事実だ。

■瞑想に最適なタイミング
脳波がα波やシータ波に近い状態になっているときは、瞑想に最も適している。つまり朝目覚めてすぐか、夜ベッドに入る直前が最適だ。

アメリカ睡眠医学会の調査から、午前中に瞑想するとその日の睡眠の質が高まることがわかっている。

☆「SLEEP」最高の眠り まとめ

◎「睡眠不足」は本当にあらゆる不調を招く

◎できるだけ午前6時から午前8時30分の間に30分太陽光を浴びる

◎↑このついでに散歩や、屋外で太陽を浴びながらウェイトトレーニングをすれば最高

◎眠る時間はできるだけ午後10時(22時)が最高(成長ホルモン、修復ホルモンが最大限に発揮される)

◎眠る90分前までに「スマホ」「パソコン」「テレビ」などの「ブルーライト」を浴びるのをやめよう。(午後10時になるなら、午後8時半以降は見ない)

◎「カフェイン」は午後2時以降は摂取しない。できれば毎日は避けて2日3日おきにしておこう。

◎睡眠に最適な室温は15~20度

◎「眠り」はもちろんあらゆる健康のために、「腸」を健康にしよう。

農薬、過剰な糖分、抗生物質、食品添加物や保存料、塩素(水道水)などを避けた方が良い。

ダイエット炭酸飲料(ゼロカロリー、ゼロシュガー、人工甘味料)も避ける。

◎不足しがちなマグネシウムを意識して摂取する。マグネシウムスプレーを肌に塗るのもおすすめ。

◎眠るときに部屋が明るいと、眠りも阻害するし、「近視」などの原因にもなる。

◎遮光カーテンにし、寝室にはできるだけ光るものを置かない。

◎寿命を表す「テロメア」にも「睡眠不足」は大敵。

◎睡眠不足を改善するためにも、午前中に運動をしよう。(週200分推奨)

◎少なくとも、週2回30分のウェイトトレーニングをする。「テロメア」も減少しにくくなるし、眠りが改善する。

◎「眠り」の為にも「健康」の為にも正しく「ダイエット」しよう。

◎「カロリー制限」は筋肉量が減ってしまうので、リバウンドしやすい。

◎「低糖質 高たんぱく高脂肪」のものを意識して食べる。

◎眠る90分前からは食べない

◎朝食は糖質を避けて、タンパク質と良質の脂肪分を摂取しよう。

◎「瞑想」は眠りにも何に対しても、「百利あって一害なし」と言える。午前中に(起きた直後)瞑想しよう。